リースバックの家賃相場はどれくらい?家賃の決まり方とは?
最近、「リースバック」という言葉を聞くことが増えたかもしれません。リースバックとは、自宅を不動産会社や投資家に売却して現金化した後も買い主と賃貸借契約を締結して、そのままご自宅に住み続けられる制度です。持ち家を持っているけど老後の資金が足りない、という人が利用するようです。今回はそんなリースバックについてまとめました。
リースバックの家賃相場
リースバックによって自宅を不動産会社などに売却した後は、賃貸借契約を結んで家賃を払って住む形になります。「自宅の権利を売却してまとまった現金を手にできるのはよいけれど、その時の家賃は、一体、いくらくらい払うのだろう。もしかして、持ち家をそのまま持ち続ける方が得なんじゃないか」という風に心配になるかもしれません。事前に家賃の相場を知っておきたいですよね。実は、リースバックの家賃(賃料)は、地域や築年数などの条件で異なります。
それでは、家賃はどのようにして決まるのでしょうか。リースバックの家賃は、一般の賃貸市場の相場には関係しないようです。リースバック事業者は、物件の買取価格(売値)を基準にして家賃の計算をしています。
一般的にリースバックの家賃相場は、後でも説明しますが、年間で概ね買取価格(売値)の10%前後で設定されることが多いようです。そのため、周囲の物件の相場とは違いが出ることがあるのです。そのため、場合によっては、周りの賃貸価格と比べて相対的に高くなる可能性もあります。また、買取価格に連動することから、家賃を安く抑えたいと思ったら買取価格を安く抑えることになります。
リースバックの家賃の決まり方
では、リースバックしたときに支払うことになる家賃の金額が決まる仕組みを、具体的に見ていきましょう。リースバックの家賃(賃料)を決める際の計算方法は、通例であれば「積算法」という方法が用いられます。積算法では、次のように価格を決定します。
まず、あらかじめ対象となる不動産の買取価格を決定します。次に、その買取価格に期待利回りと呼ばれる買い取る不動産会社の利益になる分を計算します。だいたい6%~13%が相場のようです。そして、これを資金回収の年数とさらに12ヶ月で割り、必要に応じてその不動産を維持するための必要経費を加えます。
不動産を維持するために必要な経費として、たとえば管理組合の管理費や修繕積立金のようなものから、不動産に対して課税される固定資産税や都市計画税から、万一の場合に備えて物件に掛けておく保険料なども含まれます。
こうして計算された額が、その不動産の月々の家賃になります。このように、不動産の維持管理に掛かる費用は買い取った不動産会社が負担する形になるので、リースバックするとそうした経費の支払いから解放されるメリットもあります。
リースバックの家賃が決まる仕組み
ここで、リースバックの家賃が決まるときにポイントになることについてまとめておきます。
期待利回りを利用する
先ほど「期待利回り」という言葉が登場しました。これは投資する側、つまり買い取る不動産会社にとって、年に平均でどれくらいの利益が見込めるかをパーセンテージで表したものです。できるだけ早期に回収したいのであれば、家賃収入を増やさなければならないため、必然的に利回りを高く設定する必要があります。
逆にそれほど急がなくてもよいということなら、最初から低めに設定してもよいという事情が反映されます。したがって、新しい借主がすぐに見つかるかどうかということや、物件そのものの築年数によっても上がり下がりします。
周辺の家賃相場には影響されない
もう一つの重要なポイントは、物件がある地域やその周辺などの家賃相場が利回りの決定に影響しないことです。物件を借り受ける人が最初から決まっていることが、一般的な賃貸との根本的な違いといえます。所有者が家賃や利回りを決める要素は、あくまで物件そのものの価値や状態です。周辺の物件の家賃等を参考にする必要もないことから、一般的な家賃相場との間に差が生じることもあります。
リースバックの家賃を抑えるには?
リースバックの家賃を抑えるにはどうしたらよいでしょうか。一つは、複数の不動産会社に査定を依頼することです。期待利回りのパーセンテージで実際に支払う家賃が大幅に変わるため、期待利回りの低い不動産会社を見つけることが家賃を抑える近道になるのです。
そして、必要な資金だけの回収を目的にすることも重要です。自宅売却時に、不動産売買ではより高額で売却することを目指します。しかし、リースバックは将来買い戻すことも可能なので、あえて価格を抑えて売却することによって、安く買い戻すことが可能になるのです。現在必要な資金を調達できればよいと考えているのであれば、必要な金額を割り出し、自ら買取価格を下げて提案しリースバックを利用することも考えられます。
今回はリースバックについてまとめました。自宅を持っている方が老後の資金などまとまったお金を用立てたいときに使える手法として注目されていますが、リースバック後の月々の支払いが絡んでくるため、仕組みを理解した上で、目的に合った形でのリースバックを実現してください。その参考になれば幸いです。