もしリースバックで家賃が払えなくなったらどうなるの?
売却によりまとまった資金を得ながら、売却した業者に家賃を払い、そのまま住み続けられることが特徴のリースバック。しかし、さまざまな事情で家賃の支払いが困難になった場合を不安に思っている方も多いのではないでしょうか。そんな方のために、この記事ではリースバックの家賃が払えなくなったときについて解説します。
家賃が払えないケースとは?
リースバックで家賃が払えなくなる原因は、さまざまあるでしょう。たとえば、事業の失敗やリストラ、病気やケガなどで働けなくなるなど、収入が減るケースが挙げられます。リースバックは、売却によりまとまった資金を確保できるのが魅力です。まとまった資金の使いみちによっては、家賃の支払いが困難になりにくいケースもあります。たとえば、固定資産税などの維持費を抑えたい場合。相続のときに不動産を残さないように現金化することが目的な場合などです。いずれの場合も、手元に売却で手にした現金が残ることが多いでしょう。
一方、住宅ローンの支払いを軽減するためや、子どもの教育資金にするためなど、別にお金を使用する目的がある場合、売却で得たお金は家賃の支払いにあてられません。家賃の支払いが月々の収入頼みになると、単に賃貸契約した物件と同じ状態になります。つまり、月々の収入が減れば家賃の支払いも困難になる可能性が出てくるといえるでしょう。
家賃が払えなかったら契約解除になる?
家賃が払えなくなっても、即契約解除にはなりません。払い忘れや、病気や事故で急に収入がなくなったなど、不測の事態に備えてある程度の猶予期間が設けられているのが一般的になります。
3か月分の家賃滞納が契約解除の目安
契約解除になるのは、家賃3か月分の滞納が目安となるようです。多くの場合、リースバックの契約書に契約解除になる条件などが定められているため、事前によく確認しておきましょう。
契約解除になる流れ
契約解除は、以下の順で進められます。
1.借主(不動産の元々の所有者)への支払いの督促
2.保証人への支払いの督促
3.内容証明郵便の通知
4.契約解除通知
5.退去
家賃を滞納すると、支払い期限の翌日から1か月間、借主に支払いの督促が来ます。督促されたことを把握したら、すぐに支払うのが最善の方法です。万が一すぐに支払いができない場合でも、支払えるめどがあれば支払える時期を伝えましょう。無視や連絡を遮断することは得策ではありません。それでも支払わない場合は、保証人に督促がいきます。
リースバック契約のときに、個人の連帯保証人を立てた場合は個人に通知がありますが、最近では「家賃保障会社」が保証人になっていることが多いようです。家賃保証会社が代わりに家賃を払った場合は、家賃保証会社から借主に督促がいきます。さらに支払いがない状態が続くと「内容証明郵便」で契約解除に関する通知が届きます。「内容証明郵便」は、郵便局を通した公的なやり取りとして、後日裁判になったときに証拠になるものです。滞納期間が2か月分であれば、滞納分を支払うことで退去を回避できる可能性があります。
滞納期間が3か月になると「契約解除通知」が出されるので、退去せざるを得ません。退去しない場合は、裁判により実力行使で退去を強いられることになります。万が一裁判になると、裁判費用は訴えられた側(借主)が負担することが一般的なようです。さらに支払いが増えることになってしまうので、裁判になる前に退去したほうがよいといわれています。
払えなくなる前にやるべきこととは
家賃が払えなくなってから3か月で、退去せざるを得ないところまで話が進んでしまうようです。資金に余力がなくなってからでは、引っ越しも満足にできません。そうなる前にできることはあるのでしょうか。
資金に余力があるうちに退去する
退去するときには、まず引っ越し先を探すための時間が必要になります。とくに、家賃の支払いが負担になってきた場合には、今より家賃が安い物件を探す必要があります。地域や時期によっては条件に合う賃貸物件が、すぐに見つからない場合もあるでしょう。
また、新しい賃貸物件の契約や引っ越しなどには、まとまった資金が必要です。さらに家具家電の買い替えが必要になる場合もあるかもしれません。家賃の支払いに不安を覚えたときには、資金に余力があるうちに退去の準備を始める必要があるといえるでしょう。
公的機関による給付金を利用する
公的機関による給付金を利用できるか検討することも、ひとつの方法です。家賃に対する給付金のひとつに「住居確保給付金」があります。「住居確保給付金」は、離職や廃業などにより経済的に困窮し、住居を失うおそれがある人が対象になります。上限はあるものの家賃相当額が支給される制度です。市町村ごとに上限額に違いがあるので、申請を検討する方は、地域の担当窓口へ問い合わせてみてください。
ただし、給付期間は原則3か月、一定の条件で最大9か月になります。いつまでも給付金に頼れるわけではありませんが、給付が受けられそうなら緊急事態を乗り切る強い味方になってくれるでしょう。
まとめ
この記事では、リースバックの家賃が払えなくなった場合について解説しました。払えなくなっても契約が解除されるまでには猶予があります。滞納してしまった場合は、あわてずに誠意を持って対応することが大切です。公的な給付金制度の利用を検討してみるのもよいでしょう。しかし、家賃の滞納が続いた場合は、退去せざるを得ません。家賃の支払いに不安を感じたら、早めに対策を打つようにしましょう。