リースバックが利用できないのはどんなケース?条件を押さえておこう
リースバック契約で自宅を売って住み続けようと考えたときに、仲介を依頼した不動産会社から「この場合には難しい」といわれてしまうことがあります。大丈夫と思っていたのに相談してみたら駄目だといわれて困ることがないよう、リースバック契約ができないケースについて詳しく解説します。
契約しても家賃を支払えない可能性がある場合
リースバック契約をしようとしても断られてしまうケースとして、典型的なのが家賃を払えない可能性が高いことです。賃貸物件を借りるときには一般的に審査が行われ、毎月必ず家賃を支払えると考えられるような経済力があるかが判断されます。
この場合にも売却した物件を賃貸して住むことになるため、安定した収入があって家賃を支払える能力があるかの審査を受けることになります。その結果として充分な支払い能力があると考えられなかった場合には、リースバック契約そのものができなくなるのです。
実際にはこの理由で契約できなくて困ってしまうということが多くなっています。リースバックをしようと考えたときにはまとまったお金が必要で困っている場合がほとんどで、それでも自分の家や土地は守りたいというときに用いられているのが特徴です。
まとまったお金が必要な理由はケースバイケースなので一概にいうことはできませんが、経済的に豊かな状況ではない場合が多いのは容易に想像できるでしょう。
とするとカードローンやカードキャッシングなどを使って既にたくさんの借入をしていることもあります。あるいはリストラなどによって仕事を失ってしまい、収入がまったくなくなってしまっているということもあるでしょう。
このような状況では確かに家をとりあえず売ってお金を調達したいと考えることがあります。しかし、他社借入が多くて家賃の支払いが難しいのではないか、収入がないから家賃を払えなくなるリスクが高いという判断で断られてしまうことが多いのです。
ただ、年金生活や派遣社員などであっても家賃に見合った安定した収入が得られているなら契約できることもよくあります。
所有者の同意や希望金額の問題もある
リースバック契約ができないケースとして物件の所有者の同意が得られなかったというケースもあります。共有名義にしているときによく起こる問題で、売りたいと思った自分自身だけでなく、共有名義になっている人たち全員から同意を得られなければ契約はできません。
親から相続をした家や土地は遺産分割協議の結果として共有名義にしていることも多く、それが原因で売れないという状況になっていることはよくあります。共有名義の場合には名義を移して自分だけにしておくか、売るタイミングで全員の印鑑証明書を用意するなどの手間をかける必要があります。
一方、調達しなければならない金額が明確なときもあります。この場合には想定される売却金額が希望の金額に満たない場合には断られてしまうのが一般的です。この場合には売却によって得られたお金だけでは目的を果たせず、他から借入をして工面しようと考えるでしょう。
その結果として家賃の支払いが難しくなってしまうことがあるからです。借入状況について将来的に不安があるという点で審査を通れないと判断され、契約はできないと不動産会社に断られてしまうことになります。
任意売却の場合には返済が理由で無理になることがある
任意売却でリースバック契約をするのはよくあるパターンですが、この場合にもいくつかの理由で無理になることがあります。支払い能力がないというのが結局は問題になってしまう場合が多いのは確かです。
ただ、それ以前に債権者が許可しないことが多くなっています。任意売却の場合には家を売ったお金で住宅ローンを返済することになりますが、売却しても残債をすべて返せないようでは債権者が納得することはまずありません。そのため、債権者の金融機関が同意してくれなくて無理ということはよくあるのです。
一方、金額的に大丈夫だったとしても債権者に断られることもあります。これは金融機関としては計画的に資金運用をする予定だったのが破綻することになるからで、業績がよくないときにはとくに断られやすいので注意が必要です。ただ、交渉次第では売却金額で残債をすべて返せなくても許可をもらえることもあるので相談してみるのが大切です。
リースバック契約をしたくても断られてしまうことは少なくありません。家賃の支払いができない可能性が高いから断るというのが最もよくあるパターンですが、他にも共同名義で他の名義人からの許可を得られない、必要な金額に比べて売却金額が低い、任意売却で債権者からの許可が下りないというのがよくある原因です。不動産会社に相談してみると可能かどうかを客観的に判断してくれるので、リースバック契約をしたいと思ったときには早めに相談しておきましょう。