高く売りたい!リースバックの査定の基準や方法はどうなっているの?
住宅ローンは、設定当初は綿密な返済計画を立てたつもりでも、リストラや病気にかかるなど想定外のライフイベントに遭遇すると、途端に返済が滞りがちになることもあるようです。そのまま放置すれば、最終的には競売にかけられて手放さざるをえなくなるので早急に対処する必要があります。
リースバックの方法とその流れを把握
リースバックとは戸建て住宅や分譲マンションなどを売却した後も、従前と同じように居住し続けるというものです。これは、個人投資家や不動産業者などの第三者に住まいを買い取ってもらい、同時に買主との間で賃貸借契約を締結することで、毎月賃料を支払いながらこれまでと同様の生活を継続することができる取引です。
売却したことは不動産登記簿に載りますが、周囲の人には売却した事実は分かりません。一旦手放しても、その後の経済状況が好転すれば買いもどすことも可能です。(ただしこの場合は売買と同時に別途契約を締結することが必須です)
類似した取引にリバースモーゲージというものがあります。リバースモーゲージは自己所有の建物などに抵当権を設定して、融資金を受け取ります。そして所有者が死亡後に売却して返済を行います。所有権を喪失することはない変わりに、年齢は55歳以上に限定されていたり、使途も病気や介護施設への入居費用など限定されているのが一般的です。
これに対してリースバックではどの年齢でも利用可能で、受け取った売買代金の使い道も特に制限を受けることはありません。売却後も転居する必要がなく、固定資産税などの支払も不要です。
リースバックの査定基準や相場について
リースバックを利用するのは、住宅ローンの支払が延滞して競売の危機に直面する事態を典型としているので経済的に困窮している場合が多いのが現実です。ここでリースバックの利用を検討する際に気になるのは結局いくらで売却できるのか、査定基準や方法ではないでしょうか。
実際にリースバックで自宅などの不動産を売却した場合に調達できる金額ですが、査定にあたっては不動産の市場価格や地域の不動産市場の活性などにより左右されますが、相場的には対象不動産の市場価格の70%から90%と見られています。
例えば3,000万円の物件であれば、2,100万円から2,400万円ほどの現金を入手できるわけです。都心部や地方都市などの交通アクセスが良好で、不動産価格が安定しているエリアでは、分譲マンションでも相応の現金を手に出来る可能性もあります。
そもそもリースバックに応じる投資家や不動産会社は、万が一借主が何らかの理由で家賃を支払えなくなった場合、さらに第三者に売却して利益を稼ぐことを目的としています。そのため将来不動産を売却したときに期待できる売買価格と、不動産を購入するために負担した手数料や税金負担などを考慮して買い取り価格の基準を想定しています。
投資物件として購入するので、魅力的な市場価値をアピールできる物件であるか、建築年月日や所在・交通アクセスなどによっても査定は左右されます。
気になる家賃負担や残債が残ってしまうときの対策
リースバックはお住まいの売却などで高額査定がつき、より多くの現金を入手できるにこしたことはありません。しかし単純に高額査定がついたからといって、手放しで喜べない側面もあります。それは後々負担することになる家賃の金額が買い取り価格に左右されるからです。
月額の家賃は物件内容や立地条件・周辺の商業や医療施設の充実度などに左右されますが、一般的には売却価格の8%から16%程度の金額を、12で割った金額になります。つまり高額査定が付けばそれだけ、毎月の家賃支払の負担は大きくなります。
さらにここで注意したいのは、支払っているのはあくまで家賃であって住宅ローンではないということです。つまり買いもどしをしない限り、所有権を取得することはありません。
また、住宅ローンとの関係で、リースバックの方法を選択してもローンを完済することができず残債がでてしまった場合は、取引を完遂することができません。いわゆるオーバーローンの状態ですが、この場合は原則としてリースバックを利用することは困難です。
それでもリースバックの成功の可能性を探るなら任意売却という方法を選択することになります。任意売却は銀行などの金融機関の協力のもとで残債務の支払い方法の変更や債務免除などを交渉しながら、残債の処理方法に合意して第三者に売却するという方法です。任意売却では債権者との交渉が必須なので、専門家のサポートが不可欠といえます。
住宅ローンの支払いが延滞するなどの状況で、持ち家からの転居を回避しこれまでの生活を継続できるのがリースバックのメリットです。不動産会社などの第三者に売却すると同時に、賃貸借契約を締結し生活を送ることになります。
家賃は相場よりも高めになるので、そこまで折り合えるかを考慮して、決断する姿勢が求められます。